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詩について

詩について考えることがある。
詩は、一瞬のセンチメンタルとか一瞬の言葉の飛翔ではなく、たとえば朔太郎の詩は何を読んでみても、そこにあるのは朔太郎の寂寥の一貫した方向性である。朔太郎をはなれた一瞬のセンチメンタルも、朔太郎をはなれた一瞬の言葉の飛翔も存在しない。詩はその人の在りようを抜きにしては成立しない。のがれようのない在りように触れたい。

*

幸という字は、

亀甲文字では、

手錠に繋がれた人。

もともと、

しあわせは、

巡り合わせのこと。

*

ポスターが微風にふかれ

半分めくれている

小学生の女の子が駆け寄り

ポスターを押さえ

しっかり貼る

 

拍手をする

きみは素晴らしい女の子だね

きみは必ず幸せになれるよ

女の子がふりむき微笑む

 

ジロドウの間奏曲の冒頭に似ている

主人公の検察官が朝の出勤のとき

通りすがりの家の前に

配達された牛乳のビンが倒れているのを

立ててあげるシーンだ

三崎

夜の波止場に

透明なガラスの

電話ボックスがある

潮のあいまに

対岸の灯が揺れる

わたしが樹になったら

わたしはきっと

気が狂うだろう

樹は一生

何処にも行けないのだから