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建材価格

 ―鉄が値上がりしているそうですが。(本橋)

鉄でもなんでもそうですけれど、上がったり下がったりしていますよ。

大手のゼネコンは年単位でヘッジしてあるから、値上げされてもその時はそんなに関係はないでしょうね。ガラスでも何でも抑えてるんですよね。だから資材関係はガラスでも鉄骨でも大手の方が安いですよね。大手の方が高いのは、一般管理費です。人件費で考えると、スーパーゼネコンと一般的なゼネコンは30代以上の平均給与は倍近く違うんじゃないでしょうか。

*事務所の天高について

事務所とかマンションを選ぶ際のチェックリストに天井高があります。論文としてはル・コルビュジェの造語”モデュロール”が有名ですが、それ以外の天井高についての議論は多くはないように思われます。成人男子の理想の身長を6フィート≒183cmとし、手を上に上げた高さは226cm、従って居室の寸法は226cmである、としました。日本でも丹下健三が日本版”モデュロール”を発表しています。私が20年前(昭和63年)に開発したビルが、明石町に現在も貸ビルとして運営されていますが、ワンフロア500m2で天高は2350mmですが、天高について感想をお聞きして低いとかのコメントを頂いたことは一度もありません。

事務所を見学に行き、メジャーで計測でもしないかぎり2400と2600の違いを感じられる方は一人もおられない、と言っても過言ではありません。

但し、ハリが出ている場合はうっとうしく高さに敏感となり低く感じる傾向があります。又、蛍光灯が逆富士の場合も同様に感じる傾向があります。

このように天井高の印象は、実際の寸法というより天井のレイアウト等の影響が大きいと思われます。

事務所で喫煙者の多い時代は、天高が高ければ高い方が良いとも考えられたのですが、現在事務所は殆どが禁煙であり、天高が高ければ高い程冷暖房のコストもかさみ、地球温暖化阻止にも逆行します。

何の考察もなされず、天高のチェックリストの数字のみが一人歩きすることはとても悲しいことであると考えます。

美しいこと

ここの並びに紙屋さんの自社ビルがあるんだけれど、鹿島建設さんの設計なのね。総合設計制度を使っていて、設計がよく出来ている。私が一番気に入っているのが、外階段の扱い。これはただの鉄骨なんだけれど、L字のルーバーの間隔が佃大橋から見ると、本当に美しいんだよね。それが狭すぎてもいけないし、広すぎてもおもしろくない。普通、鉄骨の階段って美しくないから隠したがる、あるいは開き直って汚いままで良いっていう建築家だっている。

そこは建物にも品がある。そこは美しいんだけれど、私はそこに住みたくはない。美しいから良いってもんじゃないんだよね、自分がどう見られたいかです。全部がダメじゃこまるけれど、やっぱり100あるうちの2つか3つくらいは崩れていても良いんじゃないかな。

それは車にも言えて、今のジャガーはそうでもないけれど、昔のジャガーは完璧っていうくらい美しい。でもあれにどんな格好をして乗ればあうんだろうかって思うわけだよ。ちょっとコレじゃ合わないなって思うわけだよね。(笑)

中村拓志、手塚夫妻、中村好文

テレビのBSの番組だったでしょうか、30代前半の隈研吾事務所出身の中村拓志さんの特集を見ました。確か最初の作品じゃないかな、アパートなんだけれど木がたくさんあるような敷地で、木を切ったら可哀想だということで、木を縫うようにして建物が建っています。ベランダとベランダの間に木が伸びて、それで建物が多少でこぼこして。模型を60個くらい作ったって言っていたかな。手塚さんは山の学校で200個くらい作ったって言っていたけれど。

年も違うけれど手塚さんと中村好文さんは作るものが好対照な感じがします。手塚さんは自分の作りたいものというフィーリングですし、好文さんは住み手がどういう人なのかというフィーリングのように思います。

  ―手塚さんの場合は住み手が手塚さんの作風の方に寄ってきているのではないでしょうか。(本橋)

そんな感じもするね。

設計の詰め

3棟、ビルが仕上がったんだよ。工事中の設計変更の増減のチェック、95%は設計段階で詰めれば詰められたんだよね。着工前に、発注前に、業者の見積りの前に詰められるんだよね。結局、設計の詰めが甘いから、設計変更が出ちゃう。確認して、施工図を検討してという風にしていないから、設計期間が短いとやっぱり工事が進んで、ゼネコンから施工図が上がってきてそれからの話になると、どうしても後手を踏んじゃう。図面が仕上がってチェック期間をとらなきゃいけないけれど、設計した人間が自らチェックするというのもなんだし。あるいは、それだけ他のところにやらせるか。

仕上がって本当に満足したことはないね。自業自得、自分の手抜きなんだよね。