*事務所の天高について

事務所とかマンションを選ぶ際のチェックリストに天井高があります。論文としてはル・コルビュジェの造語”モデュロール”が有名ですが、それ以外の天井高についての議論は多くはないように思われます。成人男子の理想の身長を6フィート≒183cmとし、手を上に上げた高さは226cm、従って居室の寸法は226cmである、としました。日本でも丹下健三が日本版”モデュロール”を発表しています。私が20年前(昭和63年)に開発したビルが、明石町に現在も貸ビルとして運営されていますが、ワンフロア500m2で天高は2350mmですが、天高について感想をお聞きして低いとかのコメントを頂いたことは一度もありません。

事務所を見学に行き、メジャーで計測でもしないかぎり2400と2600の違いを感じられる方は一人もおられない、と言っても過言ではありません。

但し、ハリが出ている場合はうっとうしく高さに敏感となり低く感じる傾向があります。又、蛍光灯が逆富士の場合も同様に感じる傾向があります。

このように天井高の印象は、実際の寸法というより天井のレイアウト等の影響が大きいと思われます。

事務所で喫煙者の多い時代は、天高が高ければ高い方が良いとも考えられたのですが、現在事務所は殆どが禁煙であり、天高が高ければ高い程冷暖房のコストもかさみ、地球温暖化阻止にも逆行します。

何の考察もなされず、天高のチェックリストの数字のみが一人歩きすることはとても悲しいことであると考えます。