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9-4. NEWS X (6)

このような構造設計のスタディを経て、1階を4本柱とし、2階梁を高さ800の大梁として、その上部は柱径216φ、梁成400とする構造の大きな骨格が出来上がりました。とは言え、この骨格に天井カセット式の空調室内機を吊ったり、普通に床スラブを打ってしまうと依然として階高3mに対して天井高が低くなってしまいます。ここで一般的に梁の高さの懐内に納まっているものを納めて、納まっているものを外に出してしまうという逆転の発想を考えています。
即ち、一般的に梁の上に乗せるデッキスラブを梁の懐内に納めてしまいました。そうすると実は梁の天端まで耐火を施さなくてはならないのですが、オフィスの場合いずれにせよOAフロアで上げ床をしているので大きな問題にならないだろうと判断しました。また空調室内機はその床スラブ内に納めることを止めてエレベーターホールの天井裏に吊って、ダクトを接続して室内に横から吹き出すことにしています。そしてエアコンの給気に対して、窓廻りの足下にスリットを設けて、これまたOAフロアの下のスペースを利用したリターンとすることで空調も成立させました。さらに梁同士のジョイントについては、下フランジを溶接としてボルトヘッドが天井仕上げを邪魔しないようにしながら、天井をギリギリのところで納めて、最終的に階高3mに対して、天井高さ2.45m、つまりスラブ内を550mmまで抑えることで、室内の規模に対しては十分な天井高さを確保することが出来ています。

Kビル新築工事(第32回定例会議)

事業名・工事名

Kビル新築工事

日時

2014年9月3日 / 10:00~11:40

場所

トゥループロパティマネジメント(株) 第3会議室

出席者

設計監理(建築)
トゥループロパティマネジメント(TPM) : ST、MR、MT
設計監理(構造)
K構造設計事務所
施工
T社 : K(現場所長)、I(設備担当)、T(技術営業)
施工(電気)
H社 : F
施工(設備)
O社 : A

1.前回議事録の確認

施工 K:
1F丸柱の耐火塗装の磨き仕上については、9/12までに見本施工を1本完了させますので検査をお願いします。
設計 MR:
9/12の設計検査は、AM9:30~行います。
設計 MR:
エレベータかごの床石は、エントランスホールの床石と同じ模様の流れとなるように施工してください。

2.週間工程の説明

施工 K:
制振装置の試験は、9/6の9:00~行います。検査時間については、調整のうえ後日連絡ということでお願いします。

3.質疑

【10Fの折れ戸について】

設計 MT:
再度、設計にて納まりと金物を検討します。

【1Fの天井裏防鳥用ワイヤーについて】

設計 MR:
ルーバーメーカーなどでこれまでに施工した納まり例がないか確認して参考にしたいと思います。

【1Fの天井裏配管について】

施工 A:
空調ドレン配管が上階の系統と1階の系統が分かれて、設計図上では2本になっていますが1本にまとめても宜しいでしょうか。
設計 MR:
機能的に問題がなければまとめて1本の配管としても良いです。

【建物表題登記について】

設計 MT:
施工側で用意してほしい資料があるので一覧表をお渡しします。
施工 T:
事前に内容確認のため仮にお送りします。原本はお引渡し時になりますが宜しいでしょうか。
設計 MT:
良いです。

【1Fの火災報知器について】

施工 F:
設計図上では各部屋に1個ずつの配置ですが、梁成が大きいので梁成で区切られたスパンごとと部屋ごとで設置する必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。
設計 MR:
消防上必要と判断されそうなので、増設してください。

【1Fの給水栓について】

施工 A:
化粧蓋が石埋め込みタイプとSUS製とありますがどちらにいたしましょうか。
設計 MR:
石埋め込みタイプとしてください。

【定例会議について】

設計 MR:
竣工も近づいて議題が少なくなってきていますし、定例会議は今回を最終にいたしましょう。あとはメールや電話、現場でのやりとりにしたいと思います。ありがとうございました。

以上

2014.9.8 作成:MT

9-4. NEWS X (5)

このような条件を整理した上で、設計上の最初のポイントとして、32mで10階建て、即ち階高3m程度の中にどのように構造を始めとする建築的要素を納めていくか、という課題に当たりました。
まずは一般的な構造形式を採用した場合にはどの程度の柱径、梁背になるかを構造設計者と相談して、そこからどのようにしたらそれらの断面を小さくしていけるか?というスタディを繰り返しました。柱の本数を調整したり、オーバーハングする部分だけ斜めの柱にしてみたりしましたが、なかなか断面は小さくなってくれません。途中の一つのアイディアとして梁を低くしたいのだから、スパンを短くすれば良い、つまり柱の本数を極端に増やす、ということを考えて検討してもらいましたが、確かに梁背が低くなったものの径が太い柱がたくさん並んでしまい、殆ど壁のようになってしまいました。荷重を分散しているから柱も細くなるはずと思っていましたが、地震時の水平力をもたせるにはどうしても柱が太くなる方向で耐えるしかない、とのこと。そこで構造設計者のほうから全て三角形にするトラスの構造体の提案がありました。トラスにすると全て軸方向に力が伝わるので、格段に柱が細くなります。ただそうすると今度は建築のプランが成り立ちません。そこで完全に斜めになっている柱を起こして2層あるいは3層に通る柱とし、さらに三角形を閉じるのではなく、カタカナの「ハ」のように頂点を離すことによってプランニングを成立させることを試みました。

図9-4-3:NEWS X

図9-4-3:NEWS X

9-4. NEWS X (4)

さて、脱線しながら土地の履歴をみてきました。このような履歴の名残か、西側の建物との間にはかなり昔から街路を横断する道があったようで、その部分は現在も通路として残しましょう、という取り決めを近隣住民間で交わしていました。幅2m程度の通路なので、おそらくそちら側に長屋の入口が並んでいたことでしょう。細長い敷地を短手方向に切るような路地はこの界隈にはいくつもあったようです。敷地の与件として、通路を確保しつつも、敷地内上部は建物として建てても構わないということだったので、構造的にはオーバーハングするというのがこの敷地の大きな特徴でした。
一方で中央区には建物を建てる際には「地区計画」という制度が地域によっては存在します。建築基準法をずらして、地域の特性に見合った建築計画、まちづくりが可能なように、という意図で20年ほど前に定められた制度です。色々と内容はあるのですが、ここでは大雑把にメリットとしては容積率が緩和されたり、道路斜線が適用外となったりします。そのために道路境界から建物をセットバックさせて、特定の用途を建物内に入れるということをしています。
計画としては当然、容積率を最大限に使い切りたいのですが、一方で最高高さが32mまでという制限が道路斜線の代わりに導入されていて、容積率を使い切って普通の作り方をしてしまうと、最高高さを超えてしまい成立しなくなりますし、最高高さから抑えていくと今度は室内の天井高さが全く取れないということになってしまいます。

9-4. NEWS X (3)

現在は因幡町という名称はなくなっていますが、1923年の関東大震災によってこの地域一帯は全て火災によって消失してしまったために、震災復興に伴って1931年に「宝町」という町名に改称されています。その後、1978年には再び改称されて、以前から存在していた京橋という地名に統合されて現在まで続いています。ちなみに鍛冶橋通りと昭和通りの交差点にある都営浅草線宝町駅の「宝町」という名称はこの1931-1978年に存在した住所に由来しています。
また、1978年に宝町から京橋に再び改称されたのは、1962年に成立した「住居表示に関する法律」に単を発しています。不動産登記などではよく目にする「地名・地番」は旧来、一般的な住所と同じように使われていました。しかし、町界が道路と一致していなかったり、地番も整然としていなかったようで、実際にはかなり不便なこともあったようです。そこで「地名・地番」とは独立した新しい規則をベースに住所を整理しましょう、というのがこの「住居表示に関する法律」だそうです。一方で「地名・地番」についても地域によっては「地番整理」といって分かりやすいように地番を付け直している場所もあるそうです。本敷地も地名上も宝町ではなく、京橋2丁目となっているので、地番整理が行われたということが分かります。