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菊池寛実記念智美術館というのがオークラの下にあるんだけれど、そこで加藤唐九郎三代展というのをやっています、唐九郎と息子と孫の。

 ―陶芸界で親と子はどうなんですか?(本橋)

加藤唐九郎の場合は親が偉大すぎて、息子は可哀想だよね。常に親と比較されるもんね。

 ―建築界でいうと、丹下さんなんかも偉大ですからね。(本橋)

親があまりに出来すぎると、子どもは潰れるよね。むしろ違う世界に行った方が良いよね。

でも歌舞伎なんかは違うよね、連綿と続いているし。相撲とかも親父さんが優秀だと、息子も良いところまで行くよね。あとお茶の世界だと、閉じられた世界だからね。

焼物だと楽焼の楽家というのがあるけれど、あれは屋号なんだよね。あれも各代ともに出来はいいよね。三輪休雪なんかも代々襲名していてみんなそれなりに近い線まで行くけれど、やっぱり何代がいいとかはあるよね。

窯の中

 ―窯の中のどこに置くのが良いとかってあるんですか?(本橋)

もちろん。薪を放り込むと灰や火の粉が舞い上がって作品にかかるわけです。そうするとその灰が溶けたり、炭のように重なった箇所が出来ればそこに酸素が入らずに強還元状態になるわけです。酸化と還元では当然、有機物の反応が違うわけだよ。そうすると全然、色の出方が違う。

登り窯だと中の温度差が少なくて、あな窯だと大きいから、それはムラがすごく出るという事です。ムラが無い方が良い場合とムラがある方が良い場合とがあって、どちらかというと名品はあな窯から生まれることが多いです。ただし、焼け損じもあな窯からが多いね。

倒炎式と直炎式

私が20年くらい使っているガス窯は小さくてもよく焼けるんですよ。倒炎式といって、炎が下から入って窯の中をぐるっと回ってもう一方の下から出て行く仕組みです。そうすると上と下の温度差も減るし、熱がしっかり溜まるわけです。熱を籠らせるから、熱効率はいいんだよね。これが登り窯なんだよね。

一方で炎が真直ぐ上がって、その上に焼く物があって熱が上に抜けて行くのは直炎式と言います。あな窯はそれだけれど、熱効率が悪いんだよね。いわば、煙突の途中に焼物があって、熱がボンボン上に逃げちゃう。今ももちろんあるけれど、あな窯は桃山時代に流行ったやり方だね。

登り窯とあな窯だと燃料効率は何倍も違うよね。あな窯は燃料を惜しげも無く使うから、別名、大名窯とも言われています。

焼き時間

小さいものだと6時間くらい、短い時間でも焼けます。割れにくいんですよね。要するに比率×作品の大きさ=ひずみなんですよね。小さいものの方がひずみが小さくて済むから割れにくいけれど、大きいとひずみが大きくなりますからね。だから大きくなればなるほどゆっくり焼く必要があります。

狂気

狂えればモノになると思うんですよ。見える風景が変わってくると思うんです。