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容積、建築費

昔、伊東豊雄さんのどこかの建物を観に行ったことあります。アルミニウムが印象的で記憶に残っています。パンチングのアルミですね。

 ―例えば麻布十番の交差点にあるPMTビルは伊東さんの設計で、パンチングメタルを大々的に使っていますね。恐らく80年代くらいですね。(本橋)

確か外壁に使っているんだよね、アトリウムを囲うようにして。設計サイドでは商業ビルで表現できる場所はどうしても限られているよね。運営する方がけっこう強く口をだすだろうから。

 ―あの大きな吹抜けは経済的な効率はいいとは思えないんですけれどね。バブルの成せる技でしょうか(笑)(本橋)

あれは建築面積に入っていないからね。容積に入っていないところだったら遊ばせてくれるよね。

 ―施工床としてはすごいあると思うんですけれど。当時は建築費が上がっても、床面積が確保できていれば良かったのでしょうか。(本橋)

建築費よりも土地の値段の方が高いから。良い場所だと倍以上するだろうからね。

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『いつまでも自分を否定し続けていられること。』

ニナガワさんのかっこいい男の定義

自分の好み

デザインって面白いのだけれど、「ここが何か変だな」って疑問に思うじゃない。そこで何でそう思うのか理由を考え始めますよね。その段階ではきっと、どういうデザインが良いのかという自分の好みが分かっていないんだよね。自分の好みを探す旅なんですね、デザインは。

ある建築家はこう言っていました。「お客さんは自分の好みが分からないのだから、私がお客さんの好みを発見するんだ」って。一理あるけれど、よく言ってくれるよね(笑)

ろくろと手捻り

加藤唐九郎という素晴らしい陶芸家がいたのですが、瀬戸の出身なのでそこまでよく日帰りで見に行きました。明治以降では僕は一番好きです。

彼はろくろも当然、名人なんだけれど、手びねりで100個か200個くらい茶碗をつくって、それからろくろを挽いたようです。ろくろは一瞬なんですよ。1分かからず引き上げるわけだから。一方で手捻りの方は、手でやっているから当然時間がかかるんです。つまり形と向き合う、対峙する時間が違うんですよ。片方は瞬間で決まるけれど、片方は延々とやるわけです。

唐九郎という人は、そういう風な瞬間で決まってしまうようなものの前に、100個か200個くらい手びねりで延々と向き合うんですね。分からないけれど、感覚を目覚めさせるような感じでしょうか。

いつ止めるのか

デザインは引っかかりがあるときはまだ続けていいんだろうね。引っかかりがなくなってそれで完成なのか、まだ引っかかりを探すのか。

 ―止めどころも1つのデザインですよね。(本橋)