ろくろと手捻り

加藤唐九郎という素晴らしい陶芸家がいたのですが、瀬戸の出身なのでそこまでよく日帰りで見に行きました。明治以降では僕は一番好きです。

彼はろくろも当然、名人なんだけれど、手びねりで100個か200個くらい茶碗をつくって、それからろくろを挽いたようです。ろくろは一瞬なんですよ。1分かからず引き上げるわけだから。一方で手捻りの方は、手でやっているから当然時間がかかるんです。つまり形と向き合う、対峙する時間が違うんですよ。片方は瞬間で決まるけれど、片方は延々とやるわけです。

唐九郎という人は、そういう風な瞬間で決まってしまうようなものの前に、100個か200個くらい手びねりで延々と向き合うんですね。分からないけれど、感覚を目覚めさせるような感じでしょうか。