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初めに選ばれる建築設計Ⅰ 建築設計業務の内容③
4.建設会社選定
実施設計図が提出されてきたら、これを複数の建設会社に送付し見積もりをとります。その中から内容の適正さを分析した上で、適切な建設会社を決定し、発注するという手順になります。
5.設計監理
工事が始まると、現場定例ミーティングで詳細な施工図の提示があるので、建築設計会社はそのチェックおよび承認業務を行います。
建設会社が設計の変更を求めてくる場合もありますが、設計変更の適否をチェックすることも建築設計会社の役割です。設計会社がこの業務で手を抜くと、思わぬ費用の増額を招くことにもなるため、設計の監理業務は、極めて重要な業務です。
本サイトの設計監理の実際にて、設計監理のやりとりを理解しておくとよいでしょう。
6.瑕疵検査への対応等
完成したビルの引き渡し後であっても、瑕疵検査等のフォローアップが発生します。オフィスビルの場合、通常契約書にて瑕疵担保責任の範囲が詳細に定められているので、確認が必要です。
4-12. 執務空間 (9)

図4-12-9:グーグルロンドン
上図は検索エンジンのグーグル社のロンドンオフィスの一角だそうです。ここは果たして執務スペースなのか、リラックスルームなのか、もはや良くわかりません。むしろ、そのどちらでもあると言っても良いのかもしれません。ラップトップ一つで仕事ができる環境だと、このようにソファでリラックスしながら仕事をした方が効率は上がるかもしれませんし、同僚と会議室で打ち合わせをするよりも、このようなリビングルームのような寛いだ空間で話をした方が互いに良いアイディアを引き出せるかもしれません。

図4-12-10:フェイスブック
同様にこちらもIT系企業のフェイスブック社ですが、工場のような広くて天井高が高く、明るい空間にぽつんとデスクが置かれています。広い社内ですのでスケボーで移動したり、自転車に乗っても良いようです。至る所に現代アートの作品が置かれていてギャラリーの中で仕事をしているような環境でしょう。その他、DJの機材があってパーティをするスペースがあったり、プロジェクターで壁に画面を大写しにしてゲームで遊べるスペースもあるとのことです。
これらの例は非常に極端なのですが、仕事の妨げになりそうにも見えるこのような空間をあえてつくっている意図は明確で、それは社員の能力を最大限に引き出せる環境を作ろうということだと思います。IT系の企業にこのようなスタイルが多いのは、その業態がそのスタイルを許すということもあるでしょうが、それ以上に各人のアイディア、創意を引き出すことが会社に利益をもたらすということが分かっているからだと思います。
4-12. 執務空間 (8)
執務スペースやミーティングスペースなど業務を遂行する場以外に、業務の効率を上げるためにオフィス内に休憩スペースなどの社員用のアメニティスペースを設けることがあります。恐らく一般的には少し環境を変えて、椅子とテーブルが景色の良い場所に並んでいる程度のものが多いような気がしますが、ここではちょっと個性的な例を挙げてオフィス空間の多様なあり方を見てみたいと思います。
社員が休憩する時間と言えば昼食時間、つまりご飯を食べるスペースが考えられます。

図4-12-8:キッチン付食堂
上図は海外のIT系企業の食堂ですが、手前に野菜が並んでいます。日本での従来の社員食堂といえば、まさに食堂でメニューの中からオーダーして昼食とするという形が当たり前です。しかし、ここでは食堂にキッチンが付いており、自分が食べたい食事を自分でつくるということが可能だと言うことです。食材についても会社側が用意しており、野菜などは余ったら持って帰っても良いとのこと。日本だと一般的には昼休みは1時間でしょうが、そうするとご飯を作ってから食べるなんてしていたら時間がかかって仕方ありません。恐らくですが、ここでは昼休みが長いのでしょう。ワークスタイルが違うからこそこのようなことが出来ます。しかし出されたものを同僚と食べるだけでなくて、つくるプロセスから共同して行うと違ったチームワークが出来そうです。
またこのようなシステムを作ることは文化的な背景があるようにも思えます。欧米やその他地域では場所に依っては、宗教や文化、民族が多様です。その場合、それら多様性を包括的に受け入れられる寛容性がとても重要です。特に食事に付いては宗教的に禁忌となっている食材があったりしますし、調理されている食事については中身が分からない場合もあります。そういう状況も受け入れられる環境として、このようなキッチン付き食堂があるオフィスというのは興味深い例だと言えます。
4-12. 執務空間 (7)
そしてこのフリーアドレスをより極端にしているのが、ノマドワーカーと言われている人たちで、もはやオフィスが必要ないというか、ノートパソコン1つでどこでもオフィスにしてしまいます。ある程度の充電があれば、wifiが飛んでなくてもインターネット環境も携帯電話からデザリングで持ってくれば十分仕事ができてしまうというわけです。

図4-12-7:ノマドワーカー
このようなワークスタイル、よくよく考えてみると特定の業種には古くからあるかもしれません。それは例えば作家です。よく歴史ある旅館などに行くと過去の文豪が一定の期間宿泊してある作品を書き上げた、という話がありますが、あれは紙とペンだけ持っていってどこでも仕事ができるノマドワーカーのはしりかもしれません。あるいは19世紀以降、室内で仕事をしていた画家がイーゼルを外に持ち出して、目の前の風景を描くようになったのも同じようなことかもしれません。つまり自らが身を置く環境を変えることによって刺激を与えて、日常とは違った形のクリエイティブな仕事をするということだと思います。そういう観点からノマドワーカーを考えてみると、従来のオフィス空間のあり方も再考する価値がありそうな気がしてきます。
4-12. 執務空間 (6)
先の稿でオープンスタイルやキュービクルといったデスクのレイアウトについて簡単に書きました。それらデスクのレイアウトはワーキングスタイルが大きく関わるところですが、業種によっては今や紙の書類を使わないで全てパソコン上でこなしてしまうような仕事もあります。情報収集もLANケーブルで繋がれていなくても、無線LANが飛んでいればある特定の場所に縛られることもありません。そんな状況で現れてきたオフィスのスタイルがフリーアドレスオフィスと呼ばれるもので、オフィス空間には適当にデスクと椅子が散りばめられているだけ。あとは各人が適宜、自分の好きな席に座って仕事をするという形です。

図4-12-6:フリーアドレスオフィス
このようなワークスタイルを実現できる業種はまだ限られているようで、やはりIT系の業種など比較的新しいタイプの仕事が適応しやすいようですが、今後もこの類いのスタイルのオフィスが増えていくのではないでしょうか。