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5-4. カーペット (10)

記録として残っているレッドカーペットの最初は、1821年に米大統領のジェイムス・モンローが河岸に着く時に敷かれたというものがあります。また、1902年にニューヨーク中央鉄道で乗客を案内するために敷かれたという記録があり、近代のレッドカーペットのもてなしはこれが起源だと言われているようです。
ちなみに日本でも神社でお祝い事があるときでしょうか、赤いカーペットが敷かれていることがあります。この赤絨毯も意味的には同じようなものなのでしょうが、どういう経緯でこのようなことをするようになったかは筆者は調べられませんでした。

図5-4-9:神社の赤絨毯

図5-4-9:神社の赤絨毯

何はともあれ、このように歴史の長い間に渡って、カーペットは高級品、あるいは権威や歓待の象徴でありました。近代になってこれらの意味は捨象されて、機械化された生産により価格も下がり、実際的な建材となりましたが、背後にはこのような歴史が会ったことを思うと、カーペットもまた違った眼差しでみれるのではないでしょうか。

5-4. カーペット (9)

ところで権威の象徴としてカーペットやタピスリーが扱われていた例を先に述べましたが、現代においてもカーペットが特殊な意味をもつ場面があります。それは「レッドカーペット」です。
先日、イギリスのフィナンシャル・タイムズで、「中国の李克強首相の訪英前に、中国側が『李首相を迎える際、ロンドン・ヒースロー空港に敷かれるレッドカーペットが標準に達していない』とクレームをつけた」という記事が掲載されたそうです。一般的にぱっと想像するのはアカデミー賞の授賞式などで、俳優が会場に入る際に入口から車の乗降口まで敷かれるものですね。

図5-4-8:アカデミー賞

図5-4-8:アカデミー賞

これらの例は要人を迎える、歓迎の姿勢を表現するためのもので、権威の象徴としてのカーペットに近いニュアンスのものです。ただ、なぜ「レッド」カーペットかというところは、ひとつの起源が通説のようです。時代は古代ギリシアまで遡って、紀元前458年にアイスキュロスによって書かれた「アガメムノン」の内容に入ります。
アガメムノンがトロイ戦争から戻ってきた時に、妻であるクリュタイムネストラが彼に赤い道の上を歩くように進めたところ、そのような豪華な道の上を歩けるのは神々だけだ、として断ったという逸話があります。そこでは明らかにカーペットとは書かれていないものの、その後「赤い道」をつくるためにレッドカーペットがつくられたと解釈することはできます。

5-4. カーペット (8)

先の「貴婦人と一角獣」は15世紀末にフランスで発注されてフランドルで織られたと書きましたが、その後1615年にはManufacture de la Savonnerie(石けん工場の跡地につくられたので「石けん工場」という意味)がパリのセーヌ河岸、現在のパレ・ド・トーキョー付近に建設され、カーペットやタピスリーが生産されるようになりました。設立者の一人であるピエール・デュポンはトルコを旅行してその際に学んだ技術を持ち帰り、”ルヴァン風ヴェルヴェットカーペット”の生産に成功しました。その後、各世代のフランス王、アンリ4世、ルイ13世、ルイ14世らによる国家的な後押しによって大いに発展し、フォンテーヌブローやヴェルサイユといった居城の床や壁を彩っていたようです。

図5-4-7:フォンテーヌブローの寝室

図5-4-7:フォンテーヌブローの寝室

ところで全ての織物に言えることは、染めの関係で織物工場は水辺にある必要があります。Manufacture de la Savonnerieは当初はセーヌ河岸にありましたが、組織を改編するようなかたちで、1826年には同じくパリ市内のゴブラン[Goblins]に移動しています。ゴブランにもゴブラン織りと呼ばれる織物が生産されていて、その歴史は16001年まで遡ります。現在も5区にゴブランという地名があり、工場が残っています。現在は暗渠化されていますが、以前はBievreと呼ばれるセーヌに流れ込む小さな川があり、その川の水を当てにして織物がつくられていました。

5-4. カーペット (7)

図5-4-6:貴婦人と一角獣「視覚」」

図5-4-6:貴婦人と一角獣「視覚」

これら「貴婦人と一角獣」は中世美術館に展示されているので製作年代が中世かと思いきや、1484年から1500年にかけてフランドルで織られているそうです。15世紀末にはイタリアでは既にルネサンスが隆盛を極めていて、1485年にボッティッチェリが「ヴィーナスの誕生」を描き、16世紀に入ったあたりにはミケランジェロが「ダビデ」像を作っているような時代です。フランスでの本格的なルネサンスの到来はフランソワ1世がレオナルド・ダ・ヴィンチをフランスに迎え入れた1516年以降と位置づけられています。このような周辺国との関係を考えると、芸術的には少し流行からは遅れているとも言えるフランス芸術の中で、ルネサンスが到来する直前の15世紀末ということで中世美術館に展示されているのでしょう。
ところでこのタペストリーの発注者は、タペストリー内に描かれている紋章からフランスリヨンの貴族、ル・ヴィスト家だとされています。しかし先述の通り、製作されたのは上述の通りフランドル地方です。当時のフランドルは紡績産業の一大拠点だったようで、輸出入も多く行われていたこともあり、イタリアと並ぶルネサンス芸術が発展した地として知られています。「アルノフィーニ夫妻の肖像」で有名なファン・アイクやヴァン・デル・ヴェイデン、メムリンクなど多くのルネサンスの画家が誕生している地です。つまり技術的なレベルではルネサンスの水準まで達している地で製作されたものの、発注元であるフランスにおける中世的な主題を描いた、というその組合せがうまく作品として昇華されたのでしょう。

Kビル新築工事(第22回定例会議)

事業名・工事名

Kビル新築工事

日時

2014年6月18日 / 10:00~11:30

場所

トゥループロパティマネジメント(株) 第3会議室

出席者

設計監理(建築)
トゥループロパティマネジメント(TPM) : ST、MR、MT
設計監理(構造)
K構造設計事務所
施工
T社 : K(現場所長)、I(設備担当)、T(技術営業)
施工(電気)
H社 : F
施工(設備)
O社 : A

1.前回議事録の確認

設計 MR:
事務所空調吹出し位置については、施工図位置で問題ありません。
設計 MR:
各階EVホールの照明位置は、再度施工図修正後に確認とします。
施工 K:
SUSサッシは、STD4以外は発注行いました。
施工 A:
ベンドキャップの風量抵抗については、問題ありませんでした。

2.週間工程の説明

設計 MR:
屋外階段のモルタル打設はいつごろになりますか。
施工 K:
7月中旬になります。
設計 MR:
柱塗装の見本塗を急いでください。
施工 K:
日程を調整して連絡します。
施工 K:
1Fの耐火塗装の磨き仕上の仕上り確認については、最終工程の状況を現場で確認とさせてください。

3.質疑

【10Fの空調吹出し位置について】

施工 A:
換気扇と干渉してしまうことが分かりましたので、空調の吹出し位置を変更したいですがいかがでしょうか。
設計 MR:
吹出し位置は変えずに、キッチンのレイアウトを変更でどうでしょうか。
施工 A:
キッチン換気扇ダクトが上下に振り回しが出ますが問題ないでしょうか。
設計 MR:
構いません。

【トイレ部分のベンドキャップ位置について】

設計 MR:
セメント版の水平目地とトイレ天井上のベンドキャップが干渉します。天井高さを2350から2200に変更とします。ドア高さは確認しておいてください。

【1Fの石納まりについて】

施工 K:
出隅の納まりですが、留め加工部分に糸面は割れやすいと思われますが、留め加工後大面か入面加工ではいかがでしょうか。
設計 MR:
出隅納まりについては再度検討します。Y8付近に館銘板を取付けする予定があります。

【1Fの空調について】

施工 A:
X13通り付近の吹出しが1m×2本の設計ですが、2m×1本の変更はいかがでしょうか。
設計 MR:
構いません。
施工 A:
1Fルーバー上を黒く塗装するとのことですが、ダクトが黒いものがなく塗装してもはがれる恐れがありますがいかがいたしましょうか。
設計 MR:
他の材料で良いものがないか検討してほしい。
施工 A:
空調機本体も黒く塗装でしょうか。
設計 MR:
その予定です。メーカー塗装ができないか確認してください。

【1Fの火災報知器について】

設計 MR:
ベルと押しボタン部分を石に穴をあけて見える部分を最小限にしたいがどうでしょうか。
施工 K:
可能です。ランプと押しボタンは石に丸く穴をあけて組み込む形でいいでしょうか。
設計 MR:
それでお願いします。ランプは平型としてください。
施工 F:
ベルはルーバー天井裏に取付けで対応します。

【1F天井施工図について】

施工 F:
照明をプロットしたものを作図しました。
設計 MR:
空調ダクトと干渉する部分があると思いますので、空調もプロットして照明位置を検討とさせてください。

【1F空調のリモコンについて】

施工 F:
取り付け位置はどこにいたしましょうか。
設計 MR:
1F管理室内とします。

【仕上サンプルについて】

施工 K:
タイルカーペット、長尺シート、ソフト巾木、天井岩綿吸音板、キッチン天板人造大理石、樹脂化粧板、ステンレスネットの見本サンプルを持ってきましたので検討お願いします。

以上

2014.7.7 作成:MT