5-8. コンクリート (13)

図5-8-7:サヴォア邸

図5-8-7:サヴォア邸

またサヴォア邸では屋上庭園が2階まで降りてきているのがファサードの写真から分かります。外壁に穿たれた水平に長い穴は向かって左側はリビングの窓に対応していますが、中2つと右側のスパンは窓枠がなく、外部空間であることが分かります。自由な立面と屋上庭園が複合的に重なっていると考えてよいでしょう。その背後にはスロープが見えて、屋上に庭園が連続していく様が見て取れます。
コンクリートから逸れて内容が「近代建築の5原則」に偏ってしまいましたが、このように近代建築と呼べるものを達成できた技術的バックグラウンドは一重に鉄筋コンクリート技術の発展があったと言って間違いはありません。木造や鉄骨造であっても基礎は鉄筋コンクリートで造ることが殆どですし、現代の建築を建てる上での技術的な大前提です。
1920年代にコルビュジェを筆頭にその他の建築家も鉄筋コンクリート造の建築物がより一般化されていますが、第二次世界大戦を挟んでその後、大きく展開したのはブルータリズムあるいは構造表現主義(ハイテク建築)などと言われている50年代以降のムーブメントでしょう。

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