4-16. 空調機 (9)

このような仕組みを使って1つの循環するシステムとして出来たのがヒートポンプです。ポンプといえば水を高い位置にくみ上げる機械ですが、位置エネルギーをポンプによって与えることで水が重力に従って落ちていく、その際には運動エネルギーをもつという関係になっています。ヒートポンプというのはそのサイクルをイメージしたもので、熱は温度が高いところから自然と低いところに移っていきますが、その熱を温度が低い位置から高い位置に上げるのがヒートポンプです。そのために先に挙げた、蒸発→圧縮→凝縮→膨張→蒸発というサイクルをつくるものです。
具体的に冷房を考えます。空調機は基本的に室内機と室外機というものがあります。それらの間には冷媒という物質が行き来しており、熱の移動を担っています。まず、室内で冷媒が蒸発するとその気化熱で室内機側の空気が冷やされます。気化した冷媒は暖まった状態で室外機側に移動して、そこで力学的に圧縮されます。圧縮された気体は液体に変化し温度が上がるので、そこでラジエター状のものに冷媒を通しファンで廻すことによって、周辺の空気に熱を逃がします。そのようにして温度が下がった冷媒はエアコンに戻り、同様のサイクルを繰り返すわけです。最終的にラジエターに風を当てるという仕組みは、先述の古代エジプトの例と何ら変わりはありません。
ところで暖房の場合はこの逆のサイクルをすることによって、室内側の空気を暖めるわけです。

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