8-5. 地区計画・総合設計制度 (12)

ここまで議論してきた地区計画のように、建築基準法の規制の一部を緩和できる制度がもう一つあります。それが総合設計制度です。地区計画が都市計画法で定められているのに対して、総合設計は建築基準法第59条の2で定められています。法律には各法文に入る前にその内容が示されているのですが、この第59条の2については(敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例)となっていて、要するに空地を十分にとれば容積率などが緩和される特例があるということが一目瞭然です。この条項については、「敷地内に政令で定める空地を有し、…(中略)…市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したもの…(後略)」と本項の目的は地区計画ほどには明確には書いていません。一方で東京都が発行している「東京都総合設計許可要綱」という東京都における実際のこの制度の運用を示している資料には、趣旨として「一定規模以上の敷地面積及び一定割合以上の空地を有する建築計画について、…統一的な基準を設けることにより、建築敷地の共同化及び大規模化による土地の有効かつ合理的な利用の促進並びに公共的な空地空間の確保による市街地環境の整備改善等を図ること目的として創設されたものである。」とあり、ここでは大きく2つの方向性「土地の有効かつ合理的な利用」と「公共的な空地空間の確保」という具体的な内容が示されています。

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