8-5. 地区計画・総合設計制度 (17)

「共同住宅建替誘導型」は「良質な住宅ストックの形成に資することを目的として、…、建築後30年を経過した…共同住宅である建築物を建て替える計画…」とあります。「良質な住宅ストック」と「建築後30年を経過し」ていることの価値がどのように相反するのかが明らかにされることなく、暗黙の了解のうちに位置づけられているものと筆者は感じてなりません。これはかなり不動産的な資産価値を念頭においた枠組みと言えるもので、基本目標の内容を顧みているようには思えないものです。
「都心居住型」は地区計画でもありましたが、都心部における夜間人口の減少に対する策であることは明白です。
「業務商業育成型」は「新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針」という都市整備局が策定した指針の中で位置づけられたものと連動した枠組みのようです。これまたこの指針が非常に込み入ったものなのでここでは割愛します。
何はともあれ、このように5つのタイプの総合設計の型が示されてはいるのですが、地区計画のように地域の特性に合わせて個別に対応するのではなく、相対的に大上段に構えたテーマを基本目標で羅列しているせいで、それぞれのタイプの特色がはっきりと見えてきていないのが残念なところです。

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