新着情報
9-3. 色 (4)
筆者としてはそもそもこの判決の「景観の調和を乱すとまでは認められない」というところには疑問があります。「乱すとまでは認められない」ということですが、「景観の調和」が存在しているという前提でしょうか。判例が検索できなかったので正確には分かりかねますが、裁判に至る前に原告が東京地裁に工事差し止めの仮処分を申し立てており、その際の地裁の判断は「地域にある建物の色はさまざまで、特別な景観があるとはいえない」ということで、申し立てを却下しています。そもそも景観とは何かという定義は学問領域によっても違いますし、景観法上では「景観とは何か?」という定義はなされていないそうです。そうすると「景観」という概念が「色」に関係するということすらも位置づける事が出来ないので、「建物の色」と「特別な景観」に関係がありそうなこの地裁の判断の根拠も本当のところは良くわかりません。

図9-3-4:サントリーニ島
極端な例ですが、上の写真のような場合は「景観」という事も明らかに言えるかもしれません。ここに楳図かずお邸が建っていたとしたら、明らかに多くの人が「景観」を乱していると認知することは考えられます。
ここでは何はともあれ判例の詳細が分からないので、これ以上は深く立ち入らないこととします。
9-3. 色 (3)
さて建物単体としては自由に色をコントロールは出来るでしょうが、それが社会的に受け入れられるかというと、また違った論点になります。数年前に話題に上りましたが、漫画家の楳図かずおさんの自邸が紅白のストライプで外壁が着色されているということで、近隣住民から訴えられるということがありました。

図9-3-3:楳図かずお邸
この建物がいわゆる吉祥寺の住宅街に地域に建ったのが、この事件のすれ違いだったのかも知れません。例えばネオンが煌めく新宿の歌舞伎町に建てば対して目を引くこともない建物だったでしょうが、緑豊かな閑静な住宅街であるというイメージを住人、あるいは一般の方々が抱いているということが、この種の議論のきっかけになったことでしょう。実際に訴状では「住民は景観破壊で平穏に暮らせず、騒音被害ならぬ『騒色被害』を受ける危機に直面している」と記述されていたようで、色が人に対して被害を及ぼす可能性について言及されていました。
事の顛末としては、東京地裁の判決では「周囲の目を引くが、景観の調和を乱すとまでは認められない」として、原告敗訴、楳図かずお氏が勝訴となっています。
初めに選ばれる建築設計Ⅰ 建築設計業務の内容④
基本計画の策定
基本計画の策定については、本サイトの基本計画ページにて概要をご確認ください。ここでは、オーナー様の観点からチェックすべき事項として、再度整理してみましょう。
チェックポイント | |
---|---|
調査・分析 |
|
ビジョン |
|
収益計画 |
|
9-3. 色 (2)
実際に当時の建物は、真壁の木造に砂壁や瓦などの仕上げが多かったでしょうし、先に見た映画のシーンの印象は実際のそれと遠くはなかったのではないでしょうか。戦後の昭和の写真を探しても白黒のものしかなかなか見つからないのですが。

図9-3-2:日比谷通り
現在では例に挙げた戦後すぐの時分に比べれば、多様な建材が建物に使われていて、色についても街中にはいろんな色が溢れているであろうことは想像できます。塗装できる材料であれば、それこそある程度自由にモノの色を選べますし、タイルなどの工業製品も予め色が決められた中から決めることが出来ます。一方でアルミサッシやその廻りを埋めるシーリング材などは色の選択肢が狭いです。また、自然素材である石などはその風合いをコントロールするのは難しくて、張る場所によって色味が違ってしまうことも度々あります。もちろん、石に塗装をすることだって出来なくはありませんが、そうなると石を張る意味がなくなっていまいます。
現在では塗装が出来なくて色の選択肢の幅が狭い建材というものは、ある程度限られていることもあって、そういう意味では建物の色は自由にコントロールできると考えても良いかもしれません。
Kビル新築工事(第30回定例会議)
事業名・工事名
Kビル新築工事
日時
2014年8月20日 / 10:00~11:20
場所
トゥループロパティマネジメント(株) 第3会議室
出席者
- 設計監理(建築)
- トゥループロパティマネジメント(TPM) : ST、MR、MT
- 設計監理(構造)
- K構造設計事務所
- 施工
- T社 : K(現場所長)、I(設備担当)
- 施工(電気)
- H社 : F
- 施工(設備)
- O社 : A
1.前回議事録の確認
- 施工 K:
- 外階段に貼る予定のビニル床シートは、まだ手配していませんので変更可能です。
- 設計 MR:
- ではそれは取り止めとして、クリアの塗装で撥水効果のあるものを仕上げとしてください。
2.週間工程の説明
- 施工 K:
- 制振装置の設置は9/6を予定しています。
- 設計 MR:
- 設置後の検査を構造設計事務所が行いますので、日程を調整して連絡をください。
3.質疑
【1F郵便ポスト廻りの石開口について】
- 設計 MR:
- カードリーダー用開口を下げてください。あとは施工図の通りで良いです。
【排水配管の色について】
- 施工 A:
- 屋外露出部の配管の塗装色は如何致しましょうか。
- 設計 MR:
- 日塗工N-82でお願いします。
【連結送水配管色について】
- 施工 A:
- 屋外露出部の連結送水管の塗装色は如何致しましょうか。
- 設計 MR:
- 亜鉛メッキ鋼管のままとして、部分的に補修でお願いします。また、その横の給水はグレーのラッキングでお願いします。
【バルコニーの梁型、壁、天井の色について】
- 設計 MR:
- 日塗工N-93全艶でお願いします。
【インターホンポストについて】
- 設計 MR:
- 電気配線用の穴をベースプレートに開けて通線するようにしてください。インターホンポスト本体内部の仕切り板にも、配線用の穴を20φx2ケ開けて通線するようにしてください。
- 設計 MR:
- コンセントは盗電のこともあるので、点検ふたを開けた内部に取り付けてください。
- 設計 MR:
- 正面の部分も曲げ板とせず板を突合せの納まりにしてください。
【カードリーダー用ボックスについて】
- 設計 MR:
- 外部に取り付けるものの中には、コンセントは無しで良いです。開口ふたの取手の部分は角を丸めて、バリなどで手を傷つけないようにしてください。
以上
2014.9.8 作成:MT