9-4. NEWS X (7)

何はともあれこのような形で、32mの高さのうちに階高3mで10層を入れることに成功したのですが、前述の通り地区計画が出来たのは20年ほど前なので、周辺には地区計画適用後の建物よりも適用前の前面道路斜線で建物が切られている建物が立ち並んでいます。敷地は鍛冶橋通り、昭和通り、中央通りといった広幅員の大通りに囲まれた街区で、それらに面した建物はそれこそ地区計画で50mの高さまで建てられるといったこともあり、高層の建物に建て変わっています。現に今でも明治屋の敷地での再開発が行われています。

図9-4-4:10階から外を見る

図9-4-4:10階から外を見る

これらの高層の建物に囲まれるような形の街区は、内側に入ると前面道路が概ね8m程度だったりするので、5,6階建ての古いビルが並んでいる状況です。当然なのですが、その上空は空いている訳です。そのような周辺の状況の中で32mの高さのビルが頭一つ抜け出しているのがNEWS Xで、室内からの眺望は8階以上の階では周辺の建物の頭越しに大きなスペースを占有しているかのようです。このような空いた空間を「空所」と名付けています。土地が空いている場合の空地に対して、上空で空いた空間を「空所」と位置づけています。このような空所はあくまでも現時点での都市環境の中に出来ている(あるいは建物が出来ていない、ともいえる)暫定的なものですが、現在の敷地のポテンシャルとして多いに利用し得るものでもあります。

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