PET検査の被ばく量について

FDG-PET/CT 約25ミリシーベルト/1検査

①被ばく

FDG-PET検査での被ばく

FDG-PET検査を行うには、撮影の前に放射性同位元素(18F)を投与します。当院では、体重1kg当たり4.0MBqの量を投与しますが、そのときの被ばくは投与量に依存します。

およその目安として、FDG-PET検査では、約3.5~7mGyの被ばくをします。またFDG-PET/CT検査では、これにCT検査分の被ばくが加わり、約25mGyの被ばくをします。

これらは、人体に影響が出るほどの量ではありませんので、ご心配ありません。但し、胎児あるいは乳児は、放射線の影響が出やすいので、妊産婦や授乳中の女性は検査を受けることが出来ません。検査前に妊娠の可能性がないことをご確認下さい。

放射線画像検査の被ばく

代表的な放射線画像検査の被ばく量を以下に示します。これらは、国際機関IAEA(International Atomic Energy Agency)の医療被ばくガイドライン(低減目標値)をもとに算出したものです。mGyという単位が被ばくの目安になります。

FDG-PET検査の被ばく量は、腹部のX線単純撮影1~2回分程度の量です。FDG-PET/CT検査の場合は、これにCT検査分の被ばくが加わります。

 

検査 被ばく量
胸部X線単純撮影 0.3~0.8mGy/1枚
腹部X線単純撮影 3mGy/1枚
マンモグラフィ 3mGy以下/1枚
上部消化管バリウム検査 15~20mGy/透視1分
0.5~3mGy/撮影1枚
腹部CT撮影 10~20mGy/1スキャン
骨密度検査 0.005~0.01mGy
骨シンチグラフィ 4mGy/1注射
センチネルリンパ節シンチグラフィ 0.2mGy/1注射
FDG-PET 3.5~7mGy/1注射
FDG-PET/CT 約25mGy/1検査

 

診療に用いる放射線は、放射線荷重係数は1であるので、mGy≒mSvとする。

 

原子力発電所などで働く人たちの被ばく管理

原子力発電所で働く人たちは、仕事上放射線を受けることがあります。

医療で放射線あるいは放射性物質を扱っている人も、被ばくの可能性があります。また非破壊検査に携わっている人だとか、放射線放射性物質を日常的に使う研究者など放射線に関わりのある職業人も放射線を受けます。

このような職業上の被ばくについては、これを超えてはならないという限度が法令で定められていて、その限度を超えないようにすることはもちろん、合理的に達成可能な限り低くなるように(ALARAという)管理されています。 なお、放射線作業に従事する人たちの被ばく線量については、個人毎に線量計を持たせ、きちんと測定·管理されています。

放射線作業に従事する人に対する被ばく限度は、国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年の勧告に基づいて決められたものです。日本では5年間に100ミリシーベルト、 ただし、1年間では 50 ミリシーベルトを越えないこと(女性は、5ミリシーベルト/3ヶ月(これはICRPでは勧告していません)、 妊娠中腹部表面2ミリシーベルト)となっています。

なお、わが国の原子力発電所では被ばくを少しでも減らすためのさまざまな努力が行われてきており、1999年度実績では放射線作業に従事する人の年間被ばく線量は1人当たり平均 1.3ミリシーベルト[1994年度実績では1.1ミリシーベルト] となっています。

 

③がん研有明病院より

 

④年間当たりの被ばく線量の比較

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平成23年12月に、(公財)原子力安全研究協会は20年ぶりに、日本人の国民線量を発表しました。調査の結果、1年間に受ける日本人の平均被ばく線量は5.98ミリシーベルトであり、そのうち2.1ミリシーベルトが自然放射線からの被ばくであると推定されています。
自然放射線の内訳を世界平均と比較すると、ラドン222及びラドン220(トロン)からの被ばくが少なく、食品からの被ばくが多いという特徴があります。今回の取りまとめにより、日本人は魚介類の摂取量が多いため、食品中の鉛210やポロニウム210からの被ばくが0.80ミリシーベルトと世界平均と比較して多いことが明らかにされました(上巻P64「自然からの被ばく線量の内訳(日本人)」)。
放射線検査による被ばく線量は個人差が大きいのですが、平均すると日本人の被ばく量は極めて多いことが知られています。特にCT検査が占める割合が大きくなっています。