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4-7. カーテンウォール (2)

そもそも歴史的に、日本建築においては木造が主たる構造形式だったので、柱梁による架構を組んで、外壁が板戸や砂壁の様な軽いモノで作られるということはさほど驚くべきことでもありませんでした。一方で西洋建築においては、石や煉瓦による組積造の建物が主流だったので、外壁が分厚く、重たいことは当たり前でしたし、それに伴って窓も小さいものでした。石よりも木が建材としてより広く使われていた北欧やスイスなどでも,ログハウスのようなものは木の組積造と考えて良いですし、柱梁の架構形式にしていたとしても、冬の厳しい気候への配慮から壁を分厚くつくって、十分な断熱性能を確保するということがなされていました。

図4-7-3:北欧の木造教会

図4-7-3:北欧の木造教会

このように壁に建物の荷重を伝達する構造形式は、構造材として鉄や鉄筋コンクリートが使われるようになるまで、長い間繰り返されて来た形式です。壁が荷重を支えているために当然カーテンウォールの様なことは出来ませんでした。
もっとも荷重を外壁に担わせるのを止めたからといって、建物に外壁の必要がなくなる訳ではありません。今度は主構造にぶら下げられる、軽い素材で外壁をつくる必要があります。窓の素材としてガラスが古くから存在していたことは、「5-1. ガラス」の稿でも触れていますが、そのガラスをサポートするための枠、アルミや鉄で枠がつくれない当時は木製しか選択肢がありませんでしたが、カーテンウォールをつくれる様な十分に大きく育った木は西欧においては中世以来不足していたといわれています。
直接的にそのせいかどうかは定かではありませんが、世界最初のガラスのカーテンウォールは18世紀にオスマン帝国で作られたといわれています。下記の写真はそのオスマン帝国のものではありませんが、ルーマニアのブカレストに残っているもので、きっと近い様な形で世界最初のガラスカーテンウォールも製作されたものと推測されます。

図4-7-4:ブカレストの木製ガラスカーテンウォール

図4-7-4:ブカレストの木製ガラスカーテンウォール

4-7. カーテンウォール (1)

4. オフィスビルの部分

前回に壁について書きましたが、建物の外観については閉じた部分が壁とするならば、開いている部分は開口部です。開口部には大まかに扉と窓、あるいはガラスのカーテンウォールの様な場合も開口部という扱いになります。

図4-7-1:バウハウス・デッサウ

図4-7-1:バウハウス・デッサウ

カーテンウォールというのは、組積造のように自重とその他の建物の荷重を外壁が伝えるのではなくて、建物の躯体の荷重は受けない、非耐力壁の外壁です。名称もそうですが、カーテンのように躯体からぶら下がっている壁である、と考えれば良いでしょうか。一般的にカーテンウォールといえばガラス張りの建物を想像するかと思いますが、PCやALC板のカーテンウォールもあります。有名な例で言えば、東京都庁舎の外観はPC板のカーテンウォールで構成されています。

図4-7-2:都庁舎

図4-7-2:都庁舎

まずはいつも通り、どのようにしてカーテンウォールができてきたかという変遷から辿りたいと思います。

4-6. 壁 (3)

壁を立てると当然ですが、内側と外側が出来ますが、実際に外部に面する壁はいわゆる外壁です。風雨を避けるのはもちろん、都市部においては火災を予防するためにも外壁の性能は求められます。また意匠上、外観を構成する要素でもあります。
都市計画によって指定されている区域にもよりますが、市街地で耐火建築物としての性能を求められる場合には、外壁には耐火構造であることが求められます。耐火構造というのは、所定の部位が火災で一定の時間熱を加えられたときにも、非損傷性、遮熱性、遮炎性が担保出来ているということです。具体的には一定以上の厚みのコンクリートであったり、ラスモルタル、セメント板であったりします。住宅など小規模の建物に比べれば、オフィスビルのような一定以上の規模の建物ではこのような火災に対して求められる性能は高いので、意匠的には制限されてしまっています。
また、外壁には扉や窓といった開口部が穿たれますが、これらに対しても火災予防の観点から色々な水準で規制が欠けられています。その詳細はここでは割愛しますが、いずれにせよ建物の外観は様々な法的条件をクリアした上で成立していますので、それらを念頭に建物を眺めるだけで様々な発見があるものです。

4-6. 壁 (2)

建物の構造形式によっては、壁が構造的な役割を担っていることもあります。鉄筋コンクリート造の壁構造だと当然、壁が垂直、水平力を受けますし、ラーメン構造や一般的な鉄骨の軸組構造だと線材を組み合わせたような架構形式なので、その部分には荷重はかかりませんが、部分的にRCの壁をつくって水平力を負担するようなことも考えられます。これらは構造壁と呼ばれます。建物の構造の一部を担っているということで、インテリアを改装する際にも簡単に壊すことは出来ない壁です。
一方で構造壁ではなくて、スペースを区切るためだけの壁は間仕切り壁と呼ばれます。現在では殆どの間仕切り壁は軽鉄と呼ばれる金属製の壁下地材を組み、そこに石膏ボードや珪酸カルシウム板などを貼って、塗装あるいは壁紙などをして仕上げます。

図4-6-1:軽鉄壁下地

図4-6-1:軽鉄壁下地

過去にはベニヤ板などで間仕切り壁を作っていたようですが、火災予防のための内装制限がかかっていることが多いために、不燃材である軽鉄下地と不燃のボードで間仕切り壁を構成するのが現在では主流となりました。

Kビル新築工事(第3回定例会議)

事業名・工事名

Kビル新築工事

日時

2014年1月8日 / 10:00~12:00

場所

トゥループロパティマネジメント(株) 第3会議室

出席者

設計監理(建築)
トゥループロパティマネジメント(TPM) : ST、MR、MT
設計監理(構造)
K構造設計事務所 : O
施工
T社 : K(現場所長)、M(部長)、T(技術営業)
施工(電気)
H社 : H、F
施工(設備)
O社 : A

1.前回議事録の確認

2.工程の説明

3.承認用書類提出

施工 K:
コンクリート配合報告書の承認を頂きました
施工 K:
杭伏図の承認図を受領しました
施工 K:
鉄筋圧接部試験要領書のチェックバックを受領しました

4.質疑

【アルミサッシについて】

施工 K:
メーカーの見本サンプルを数点持ってきました。
設計 MR:
メーカーの見本サンプルをすべて取り寄せてください。艶消しも含めて見てみて検討したい考えです。
施工 K:
艶消しなどの特注品はサンプル制作にも時間が掛かり、納期と金額に影響があります。
設計 MR:
金額・納期は特注にした場合どのくらい納期がかかり、金額が上がるのか比較表などを作成してもらえれば判断しやすいです。いずれにしてもメーカーサンプルをお願いします。
施工 K:
分かりました。

【境界線からの距離について】

設計 MR:
建物の隣地境界からの離れは、200mmは確保お願いします。これは斜線制限を考慮したときに必要なセットバックでもありますが、地震時の建物の揺れによる水平のクリアランスも考慮して必要な寸法です。
施工 K:
分かりました。

【使用材料について】

設計 ST,MR:
前回定例で提案頂いていた耐火被覆材は認定基準を満たしていなかったり、屋内使用限定でした。また石材保護塗料は設計図記載メーカーのものより耐久性がありませんでした。
設計 ST,MR:
お互いに時間のロスになりますから、今後は設計図に記載のメーカー品を大前提として考えてください。もし提案を頂く場合、同等品以上のメリットがある場合に限らせて頂きます。
施工 K:
分かりました。

【ガラスについて】

設計 MR:
ガラス耐風圧強度計算の結果まとめ表に記載の、製作不可となっている耐熱強化ガラス5mmについては別メーカーのカタログでは製作可能寸法です。
施工 K:
別メーカーで再度確認します。
施工 K:
その他に、最大寸法オーバーとなっている計算結果も現在の検討がドアや窓のW・H寸法で検討しているためもあるので、実際の制作寸法でサッシ施工図と合わせて再度確認します。
施工 K:
1FのFIXのSTDについても上下2点支持ではなく、4点支持で検討しているので再度確認します。

【エレベーターについて】

施工 K:
エレベーター詳細図にある通り基礎柱に当たる部分は45mm基礎壁、基礎梁を移動すれば納まりますがよろしいでしょうか。
設計 MR:
45mm移動で良いです。基礎に干渉している部分だけが問題なので、上階の間仕切りは移動なしで可能ですね。
施工 K:
はい。間仕切り壁は移動しない方向で納めます。

【廃棄物保管庫の排水桝とドレン管について】

施工 K:
意匠図の位置では基礎梁と干渉していますので、添付図にある位置で変更としてもよろしいでしょうか。
設計 MR:
添付図の通りで良いです。

【その他】

設計 MT:
契約図(製本された図面)と確認申請図とで違いがある箇所があります。
設計 ST:
どの図面に違いがあるか双方で設計図の確認をすること。
施工 K:
分かりました。
設計 MT:
解りました。
設計 MR:
定例会議の議事録は前日の朝までには送ってください。予め検討する時間も必要なので。
施工 T,K:
分かりました。

以上

2014.1.16 作成:MT