法律のはなし2

「公共工事の談合は、会社の取締役全員を執行猶予なしの実刑にすればなくなるんじゃないか」という話を聞いて、それを先の弁護士さんに意見を聞いてみたところ、「いや、減りませんよ。」と。それを聞いて私は唸ってしまいました。

 ―なんで減らないのでしょうか?

それは要するに人間論だということです。私は短絡的に、例えばうちの社員が悪さをしないように四分の三くらい見張っていれば把握できるだろうと考えていて、そのうちの三分の一を諦めるにしても残りの四分の二はコントロールできるだろう、と話をしたんですよ。つまり5割くらいは改善するのではないかと。そうしたら、「それはない」と言うんです。私は日常の上司と部下の関係や同僚関係を観て、それくらいいくのではないかという見通しですが、彼が言うには本質的に人間は、やる奴は殺されてもやるというわけです。人間の認識論ですね。それで私はまた「うっ」と唸って、その話題は終わり。(笑)

法律ってそういうところにあるというのが、彼と会って初めてわかりました。それまで法律はもっと硬質なものだと思っていました、もっと数学的、即物的でなくちゃいけないであるとか。論理は読む人によって解釈が違うであるということはなくて、一定の解釈がでるように法律は作られてなくてはいけない、といったように。中学生の頃のような感覚をずっともっていました。ところが違うんですよね。法律は要するに人間論なんですよね。