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4-3. トイレ (2)

英語でいう[toilet]はそもそも場所というよりも便器を指していたようです。そういう意味で場所については[toilet room]というのが本来的な呼び名です。また英語でも同様にトイレのことを婉曲的に表現する言い回しは多く、[rest room]や[bathroom]、[laboratory]といった表現があります。日本語訳を考えてしまうと[rest room](休憩所)や「laboratory」(研究所?)なんて、ちょっとおもしろい表現に思えます。[bathroom]については、一般家庭では浴室に浴槽とトイレ、洗面所が[bathroom]として同じスペースにあるためにこのような表現となっているのでしょう。ちなみにより一般的なW.C.は[Water Closet]の略だそうです。水場でクロゼットの様に狭いスペースといった感じでしょうか。
ちなみにフランス語でもつづり違いの[toilettes](なぜか複数形)や英語から来ているWCという表現が一般的に使われています。

4-3. トイレ (1)

4. オフィスビルの部分

この章では自動ドアやエレベーターについて書いてきましたが、これらは必ずしもオフィスビルに不可欠という部分ではありません。オフィスビル、あるいは建築物一般と言ってもいいかもしれませんが、エアコンがなくても、キッチンがなくてもオフィスビルとして成立すると言うことも可能でしょうが、しかしながらトイレはどうしても必要不可欠な場所です。
(※以下、本トピックはあまり美しくない内容も書くことがあるかと思いますので、お昼休みにお食事中の方は続きを読むことを控えた方が良いかも知れません。)

言葉の上では「便所」というのは行為を直接的に表現した言い回しですが、その他、日本語では「お手洗い」「厠」「ご不浄」「はばかり」「手水」など色々な婉曲表現でその場所を示しています。今ではちょっと古めかしい「厠」という表現は、語源辞典によれば712年の『古事記』にも見られる表現だそうで、川の上にあった家屋「川屋」ということだそうです。あるいは「厠」という漢字の読んで字の如く、母屋ではなくその側にある屋「側屋」という説もあるようです。

7-2. 環境基準 (3)

これらの環境指標が目指していることは当然、環境負荷を減らしつつ如何に快適な建物の環境を得られるかということを目論んでいるわけですが、この「環境負荷を減らす」ということの意義が社会通念としてどれだけ共有されているのか、あるいは環境指標が普及することによって意義が共有されていけるのか?ということが重要です。
その点でいうとCASBEEに関していえばあまり一般には知られていないようですし、我々設計者も特にクライアントの要請がなければ積極的に認証を取ろうとしないのが多くのケースではないでしょうか。
この点、フランスにおけるHQEは中型以上のオフィスビル、集合住宅の開発に関していえば、認証を受けていることが当たり前となってきており、認証がないことでの不動産価値にも影響するようになっています。また現在は、HQEの指標から簡略化してよりシンプルに建物のエネルギー消費のみを評価するBBC(Batimemt Basse Consomation)という指標もあり、戸建ての住宅など小規模の建築物にも適用し易い様な枠組み作りが工夫されています。今は設計者がBBCの枠組みで設計するのは極めて常識的なこととなっています。
また不動産の売買、賃貸におけるその物件の平方メートルあたりの年間の消費エネルギーを表示することは法律で義務づけられており、結果としてそれが不動産価値に反映するという仕組みも出来ています。
このような外国の例を鑑みると、CASBEEの場合、設定された環境指標がいかに社会に受け入れられるのかということを戦略的に検討する必要があるようにも思えます。

7-2. 環境基準 (2)

このような建物に関する建築環境基準は日本国外でも違った形で普及しており、北米で一般的なLEED、フランスのHQE、英国を中心としてオランダ、スペイン、ドイツ、オーストリアなどで普及しているBREEMという環境基準があります。
LEEDやBREEMに関して筆者は門外漢なので詳述は避けますが、フランスのHQE(Haute Qualité Environnementale = 「高い環境品質」)の場合4つのカテゴリーに分けられた基準があり、それぞれの基準値を相応にクリアすればCASBEEと同様に認定機関によって建物に対する認定証が発給される仕組みです。その4つカテゴリーは「エコ・建設」「エコ・マネージメント」「快適さ」「健康」に分けられていて、それぞれに指標が設定されています。

「エコ・建設」
 C1:現在の建物と周辺環境の調和関係
 C2:建設プロセスと製品やシステムの関係
 C3:現場の環境負荷
「エコ・マネージメント」
 C4:エネルギー・マネージメント
 C5:水のマネージメント
 C6:廃棄物のマネージメント
 C7:メンテナンス・マネージメント
「快適さ」
 C8:温熱環境の快適さ
 C9:音環境の快適さ
 C10:視覚的な快適さ
 C11:嗅覚的な快適さ
「健康」
 C12:空間の衛生環境
 C13:空気の衛生環境
 C14:水の衛生環境

以上の14の指標の内、最低限7項目で「基本的なレベル」をクリアし、4項目で「効果的なレベル」、3項目で「非常に効果的なレベル」をクリアすることでHQEの認定が受けられます。

7-2. 環境基準 (1)

7. オフィスビルの環境

近年、CO2排出削減などの地球環境保全への関心の高まりを背景として、建築物の建設や運営に伴う環境負荷を総合的に評価しようという気運が高まっています。日本においては「CASBEE」という環境指標があり、「建築環境総合性能評価システム」と銘打っています。敷地境界などを仮想的な環境の境界と設定して、その内部の環境品質を[Q]としその外部への負荷を[L]としたときに、建築の環境性能を[Q/L]として位置づけて、それをS〜Cランクとして評価します。

図7-2-1:BEEに基づく環境ラベリング

図7-2-1:BEEに基づく環境ラベリング

境界の内外にはそれぞれの評価の指標が設定されていて、境界内ではQ1:室内環境、Q2:サービス性能、Q3敷地内の室外環境の3項目、境界外でL1:エネルギー、L2:資源・マテリアル、L3:敷地外の環境という3項目が設定されています。以上の項目の総合のQ/Lをみたときに、環境負荷[L]がより少なく、一方で敷地内、および建物内の環境[Q]が良ければ高評価になるという指標です。
またCASBEEは建物ごとに評価が与えられますが、その評価と認定は民間の建築確認申請機関が認定機関として行っています。