7-2. 環境基準 (3)

これらの環境指標が目指していることは当然、環境負荷を減らしつつ如何に快適な建物の環境を得られるかということを目論んでいるわけですが、この「環境負荷を減らす」ということの意義が社会通念としてどれだけ共有されているのか、あるいは環境指標が普及することによって意義が共有されていけるのか?ということが重要です。
その点でいうとCASBEEに関していえばあまり一般には知られていないようですし、我々設計者も特にクライアントの要請がなければ積極的に認証を取ろうとしないのが多くのケースではないでしょうか。
この点、フランスにおけるHQEは中型以上のオフィスビル、集合住宅の開発に関していえば、認証を受けていることが当たり前となってきており、認証がないことでの不動産価値にも影響するようになっています。また現在は、HQEの指標から簡略化してよりシンプルに建物のエネルギー消費のみを評価するBBC(Batimemt Basse Consomation)という指標もあり、戸建ての住宅など小規模の建築物にも適用し易い様な枠組み作りが工夫されています。今は設計者がBBCの枠組みで設計するのは極めて常識的なこととなっています。
また不動産の売買、賃貸におけるその物件の平方メートルあたりの年間の消費エネルギーを表示することは法律で義務づけられており、結果としてそれが不動産価値に反映するという仕組みも出来ています。
このような外国の例を鑑みると、CASBEEの場合、設定された環境指標がいかに社会に受け入れられるのかということを戦略的に検討する必要があるようにも思えます。

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