エネルギーと死

?往々にして、仕事が日常化、ルーティン化して感性が鈍くなっていくのはよくあることだとは思うのですが、佐々木さんはどのようにしてそれに陥らないようにしていますか?

僕はドキドキしたいわけです。死んだようにフーゥとして、引きこもって、寝ているのも好きなんだけれど(笑)若いうちは良いんだけれど。例えば僕が18の頃は夕方に目が覚めて、明け方から眠っていた時期を1年間続けたわけです。でもそれでムクムクっとパワーがでてきて、それが10年くらい続くとかね。

ただ、僕の場合は折角生まれてきたのだからと思っているし、本を読んだり、友達と会って議論をしたり、1日1回眠ることであるとか、飯を食うとか、みんな死ぬ準備なんだ、って15歳か16歳のときに思いました。朝、目が覚めたときに今日は何かやろうって起きるじゃないですか。それで一日が終わって家に帰ってきて、眠ろうとしても眠れないから、1,2時からその辺りをほっつき歩いて、疲れてやっと3,4時くらいに寝られる。眠りを死とすれば、その日一日のエネルギーを全部酸化させないと死ねない、一日単位でも。一日のエネルギーを全部使い切って、それで眠りがやってくる。使い切れないエネルギーが残っていると、夢の中に出てくる。また次の日もエネルギーが亡霊のように興ってくる。

それと同じように、やりたいこととか色々なエネルギーがあって、それを燃やし尽くしたときに恐らく死ぬんでしょうね。だから無論、肉体が壊れていくと、色々な妄執も壊れていくけれど。肉体も執念も似たようなもので中身は一緒で、化合物だから。ある意味では執念が強ければ肉体はそれに引きずられるし、執念が弱ければ肉体も酸化しやすくなる。病気になれば執念は弱くなるだろうし。そういう面でいうと、やっぱり折角生まれてきたのだから、自分の肉体にあるそういう執念のようなものを全部吐き出して、幽霊にならなくて済むように。(笑)幽霊って言うのは、燃やしきれなかった奴だね。(笑)

だからもうダメだって思って色々なことを捨てていくのだけれど、最後は自分の命も捨てるんでしょうね。