6-1. 机 (10)

また余談ですが、タイプライターの登場は事務職における女性の社会進出に大きく貢献したようです。紡績工場などの作業員と比べると「タイピスト」の給与は10倍もあったようで、20世紀初頭の女性の憧れの職業だったそうです。
ところでタイプライターの登場におけるもう1つの影響は、書類が大幅に増えたことです。記録が簡単になった分、記録する事物が増えていくことは容易に想像できます。当時はタイプライターも重く、かつ紙の量も増えたために、机に掛かる荷重が増大しました。またタイプライターとともに複写機が普及したのも相まって、それらの荷重に耐えられるスチール製の事務机が普及しました。
その後、ワープロ、パソコンと事務仕事に付随する機器が発展するとともに、事務机もそれに合わせて変化していったことは、この紙面で書くにも及ばないでしょう。
さらに現在では、デスクトップ型のパソコンからノートパソコンになったことや、書類の管理が紙からデータベースへ移行していることもあり、もはや特定の机を選ばないワークスタイルが確立しています。今やカフェの小さな丸テーブルでも立派な事務机として機能してしまいます。それを思うと、1000年以上続いている「机」の流れがもはや解体されてしまったと考えても良いのかも知れません。

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