4-7. カーテンウォール (5)

カーテンウォールの素材はガラスだけではないということを先に述べていました。現在では殆ど見られませんが、レンガによるカーテンウォールというのも、19世紀につくられています。2002年に世界遺産にも登録された、フランスのパリ郊外にあるムニエ[Meunier]のチョコレート工場です。

図4-7-7:ムニエのチョコレート工場

図4-7-7:ムニエのチョコレート工場

19世紀の当時は産業革命の流れの中で登場した資本家が郊外に広大の敷地の中に工場群をつくり始めていた時代です。ムニエのチョコレートのオーナー、ジャン・アントワンヌ・ブルータス・ムニエ[Jean Antoine Brutus Menier]は、このチョコレート工場の建物とともにエッフェルの設計の倉庫やカテドラルと呼ばれる建物もつくっています。(カテドラルといってもカカオとミルクを混ぜてチョコレートにする場所だったようで、それがチョコレートにとって神聖な行為なので、こういうネーミングなのだと思われます。)
またギースのファミリステールが有名ですが、資本家達は工場だけでなくそこで働く人々のための住宅を中心とした福利厚生施設にも力を入れていました。工場を中心とした都市計画と言えば良いでしょうか。このチョコレート工場では138の住棟に312の住戸が入った住宅地を建設しました。2つの世界大戦の間の時期には伴侶を戦争で失った女性の働き口として、ムニエで働いていたとのことです。

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