4-9. エントランス (2)

その様な計画上の意味付けは多分に象徴的な意味合いも付与されて、デザインあるいはプラグマティックな水準で各々が差別化されていきます。具体的にどういうことかというと、メインエントランス廻りはお客さん、あるいは古い住宅なら主人が出入りする場所なので、良い素材を使って豊かな空間にし、メンテナンスもこまめにされるでしょうし、サービスエントランスならばデザイン上はどちらかと言えば使用上の要求に対応した上でなるべく安く作って、掃除だって滅多にされないようなこともあるかと思います。例えば飲食店などの客商売をしている建物はその傾向は顕著にみられます。お客さんを迎えるエントランスは非常にきれいに整えていたとしても、その裏に回ればあまり他人に見られたものではない光景が広がっていることが殆どでしょう。あるいはサザエさんの家を思い出しても良いですが、古い住宅には表玄関と台所に面した勝手口がありました。
建築の設計でよく「表」と「裏」をつくるように設計がされますが、それは計画上のこれらエントランスとの対応と考えても良いでしょう。

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