9-3. 色 (2)

実際に当時の建物は、真壁の木造に砂壁や瓦などの仕上げが多かったでしょうし、先に見た映画のシーンの印象は実際のそれと遠くはなかったのではないでしょうか。戦後の昭和の写真を探しても白黒のものしかなかなか見つからないのですが。

図9-3-2:日比谷通り

図9-3-2:日比谷通り

現在では例に挙げた戦後すぐの時分に比べれば、多様な建材が建物に使われていて、色についても街中にはいろんな色が溢れているであろうことは想像できます。塗装できる材料であれば、それこそある程度自由にモノの色を選べますし、タイルなどの工業製品も予め色が決められた中から決めることが出来ます。一方でアルミサッシやその廻りを埋めるシーリング材などは色の選択肢が狭いです。また、自然素材である石などはその風合いをコントロールするのは難しくて、張る場所によって色味が違ってしまうことも度々あります。もちろん、石に塗装をすることだって出来なくはありませんが、そうなると石を張る意味がなくなっていまいます。
現在では塗装が出来なくて色の選択肢の幅が狭い建材というものは、ある程度限られていることもあって、そういう意味では建物の色は自由にコントロールできると考えても良いかもしれません。

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