3-4. 近代日本のオフィスビル (2)

このように日本にも近代化の流れの中で明治期からオフィスビルがつくられ始めましたが、以前のビルディングタイプの項でも述べましたが、当初はオフィスビルというビルディングタイプそのものが成立していなかったので、欧米諸国と同様にそれ以前の建築の様式をリプロダクトするという歴史主義的な意匠としていました。

図3-4-1:旧横浜正金銀行本店

図3-4-1:旧横浜正金銀行本店

上図は明治37年、1904年に竣工したといわれる旧横浜正金銀行本店の建物です。銀行ということなので窓口業務などもあったことでしょうし、純粋なオフィスビルとは言い難いところもありますが、それにしても現在から見るとネオバロックの様式の特徴がとても強く出ている建物です。角地を隅きりしてそこにメインエントランスを配し、ジャイアントオーダーで3層に渡る建物の外観を力強くまとめています。この建物をネオバロック足らしめている要素として最も強い要素はドームの屋根でしょうか。正確な半球ではなくて少し高さを取ることで、周囲からも銅板で葺かれた屋根が見えるようになっています。八角形の辺それぞれに丸窓が配置されており、屋根の重さを軽やかに見せる意匠になっています。

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