5-7. 鉄 (16)

ここでRC造と鉄骨造をそれぞれトピックごとに比較してみます。

工期:
RC造は1層毎にコンクリートを打設するので現場における工期は長くなります。鉄筋を組み、型枠を組み、コンクリートを打設して、養生して強度が出るのを待つという工程を繰り返します。一方で鉄骨造の場合には、工場で製作してきた部材を現場で組み、溶接、ボルト締めなどをするだけなので、現場における工期はRC造よりも早いと言ってよいでしょう。しかし、現場に入る前段階での鉄骨ロールの発注、工場での製作期間などを含めると一概にRC造よりも早いという訳ではありません。
構造:
もちろん色々な考え方は存在しますが、RC造の場合にはラーメン構造が一般的です。これは柱や梁の接合部が剛接合で作る、つまり関節部分をガチガチに固めるということです。固めるためには部材の断面が大きくなるということがあります。(部分的に壁(耐震壁)を入れたりして断面を小さくするなど、様々なやり方はあるのですが、ここでは単純化して一般論として書いています。)
鉄骨造の場合には、柱梁の接合は溶接やボルトで留めて、剛ではなくてピン(それだけだと自由に動く、ぐらつく)として考えることが多いです。例えば四角いフレームを作るとしたら、接合部はピンでくっついているのだけれどそれは変形して平行四辺形になってしまいます。そのために対角の2点を結ぶような線材(ブレース)を入れて三角形を作ります。3角形は長さが定まっていれば形は変わらない、固定されます。
つまり一般的には鉄骨造は相対的に細く作れるけれども、場所によってブレースが出てくるのに対して、RC造はごつくなるけれども、フレームのみで構成できるといった違いが出てきます。
重量:
鉄骨に比べると、RCの方が建物の重量が重くなります。建物が重ければ重いほど基礎にかかる負担が大きくなるわけなので、基礎杭のコストなどに影響があります。
コスト:
鉄骨の方が高いと言われていました。一時は中国の博覧会やオリンピックを中心とした経済成長による需要増によって鉄資源が世界的に中国に集中したために鋼材価格が高騰していましたが、今は比較的落ち着いています。一方で東日本大震災後の復興活動において、スーパー堤防などの土木関連工事が相次いでいること、あるいは東京オリンピック関連工事でRC需要が高まり、型枠工などの人件費が高騰しているようで、今ではどちらが高いだとかは一概には言えない状況のようです。

このように鉄骨造、RC造のそれぞれのメリット・デメリットがあるので、それはそのプロジェクトに応じて最適な方を選択するということをしています。

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