5-8. コンクリート (8)

ここでポイントなのが表に出ている4本の柱は仕上げ材ではなくて、無垢の大理石だそうですが、これらは建物の荷重を支えていないそうです。建物本体の構造は実はRC造で、広場に面して隅切りされた角の部分はRCの柱に大理石の仕上げがなされているということです。そのような事実は現代的な我々からすると多少の混乱を引き起こします。結局、大理石は装飾なのではないかと?恐らくそれはやはり現代的な、あるいは日本的な大理石に付着した素材に置ける意味なのであって、あくまでも大理石は装飾的な素材ではなくてただの仕上げ材であると考えるべきなのでしょう。写真でぱっと見ても分かりませんが、この大理石の貼られ方はあえて目が合わないように貼られているそうで、そうなるとあくまでもこれは表層なのだよ、というジェスチャーとして考えられるでしょう。近代建築における合理化の流れの中で、構造と表層が一致することこそが合理的=最適であるという発想がモダニズムにあるとすれば、この建物はあくまでも歴史主義とモダニズムに挟まれているプレ・モダニズムの建物であると考えて、この表層と構造の不一致をあえて見せるということで、装飾をふくめてそれらの諸問題を顕在化させていると読み取っても良いのではないでしょうか。

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