2-1. オフィスのルーツ・日本編 (3)

現在、「事務」と言えば、パッと想像するのはデスクワークです。「事務」で広辞苑を引けば「…。主として机に向かって書類などを処理するような仕事をいう。」とありますので、デスクワーク[desk work=机上の仕事]という言い方は、ズバリその通りなわけです。仏教との関連を指摘しましたが、近代以前の社会を想像すると事務的な仕事というのはそれほど多くはないでしょう。先の語源との関連で言えば、例えば仏教における写経などは、今の規範から考えても1つの事務と考えても良さそうです。
また「江戸名所図会」などの昔の風俗画を見てみると、当時の商人の事務も見えてきます。

図2-1-1:錦絵『江戸名所図会』

図2-1-1:錦絵『江戸名所図会』

この絵では日本の伝統的な商店建築の特徴がよく見て取れます。とても開放的な店先で、軒下の一部は土間になっていて、軒先まではお客さんが入って来られます。その奥は縁側のように一段上がって畳敷きになっており、そこにお客さんが座って商談をしているのでしょうか。絵の左上手にはカウンターのような長い台が奥に延びていて、台の上には帳簿の様なものがあります。そこで働く人々はデスクワークをしているに違いありません。店舗と一体となっているとはいえ、現在のオフィス環境と比べるとかなり開放的です。
ちなみにこの絵の商店は、日本橋にあった鶴屋という屋号の本問屋だったそうです。

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