4-1. エレベーター (3)

産業革命に伴って蒸気機関を利用したエレベーターが18世紀以降使われ始めています。最たる用途は産業用で石炭を運ぶためのものでした。地中深くから掘り出した石炭を人力で持ち上げるのには限界があったのでしょう。19世紀の前半にはカウンターウェイトを付けたものも発明されています。
それでもOTISがいわゆるエレベーターの先駆けと言われているのは、人が乗用するものを発明したからです。恐らく多くの人が想像をしたことがあるかと思います。万が一、エレベーターを吊るしているロープが切れたら、と…。OTISの発明は、たとえそのロープが切れたとしても落下しないという安全性に対する技術を発明したことでした。1854年にニューヨークで開かれた万国博覧会のクリスタルパレスで、OTISはエレベーターのロープを切り落とすというデモンストレーションをして会場を沸かせました。それをきっかけに人用のエレベーターが実用化され、OTISの初号機は1857年にニューヨーク、ブロードウェイのビルに初めて設置されました。

図4-1-2:otis

図4-1-2:otis

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