3-3. ミース・ファン・デル・ローエ (3)

モダニズムの偉大な建築家の1つの特徴かも知れませんが、彼らは理念を一言で表した言葉を残していることがよくあります。サリヴァンで言えば「形態は機能に従う」であり、アドルフ・ロースであれば「装飾は罪悪」といった例があります。ミースの場合には、”Less is More”(より少ないことは、より多いことである。)や”God is in the details”(ディティールに神が宿る)といった言葉で、また彼の建築の特徴を端的に示す言葉としては”Universal Space”(ユニバーサル・スペース)があります。
この「ユニバーサル・スペース」が現代のオフィス空間の起源としてキーとなる概念だと思います。そもそもミース自身がこの言葉を発したかは定かではないのですが、ビルディングタイプに関わらず彼の作品に共通する空間性を表現した言葉です。というよりも、ビルディングタイプという括りを克服しようとした概念と言っても良いでしょう。どういうことか彼の作品とともにみてみます。

図3-3-3:イリノイ工科大学(IIT)クラウンホール

図3-3-3:イリノイ工科大学(IIT)クラウンホール

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