6-2. 椅子 (2)

このように日本では馴染みの薄かった椅子ですが、世界の文明に目を移せば人類と椅子は長い付き合いがあることが分かります。紀元前3000年辺りから始まっているエジプト文明の時代のパピルスに、既に明らかな椅子の表現があります。

図6-2-2:パピルス

図6-2-2:パピルス

上図は右に女王と思われる人が座っていて、左の面々は彼女に従属する女官だと思われます。この時には椅子は権力を象徴する玉座として機能し、皆より高い位置に置かれます。楽な姿勢で上から人々を見下ろすという位置関係は、そのまま身分の位置関係も象徴しています。また描かれた椅子は単なる台ということではなく、背もたれが付いているものです。
また、下図はエジプトの玉座のレプリカの写真ですが、背もたれだけでなく肘掛けも付いており、いかにも椅子らしい姿形をしています。現在の我々が見ても即座に「椅子」と認識できるものですが、過去5000年に渡って椅子というもののタイプはあまり大きく変化していないということだと思います。

図6-2-3:Sitamun Chair

図6-2-3:Sitamun Chair

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