4-12. 執務空間 (8)

執務スペースやミーティングスペースなど業務を遂行する場以外に、業務の効率を上げるためにオフィス内に休憩スペースなどの社員用のアメニティスペースを設けることがあります。恐らく一般的には少し環境を変えて、椅子とテーブルが景色の良い場所に並んでいる程度のものが多いような気がしますが、ここではちょっと個性的な例を挙げてオフィス空間の多様なあり方を見てみたいと思います。
社員が休憩する時間と言えば昼食時間、つまりご飯を食べるスペースが考えられます。

図4-12-8:キッチン付食堂

図4-12-8:キッチン付食堂

上図は海外のIT系企業の食堂ですが、手前に野菜が並んでいます。日本での従来の社員食堂といえば、まさに食堂でメニューの中からオーダーして昼食とするという形が当たり前です。しかし、ここでは食堂にキッチンが付いており、自分が食べたい食事を自分でつくるということが可能だと言うことです。食材についても会社側が用意しており、野菜などは余ったら持って帰っても良いとのこと。日本だと一般的には昼休みは1時間でしょうが、そうするとご飯を作ってから食べるなんてしていたら時間がかかって仕方ありません。恐らくですが、ここでは昼休みが長いのでしょう。ワークスタイルが違うからこそこのようなことが出来ます。しかし出されたものを同僚と食べるだけでなくて、つくるプロセスから共同して行うと違ったチームワークが出来そうです。
またこのようなシステムを作ることは文化的な背景があるようにも思えます。欧米やその他地域では場所に依っては、宗教や文化、民族が多様です。その場合、それら多様性を包括的に受け入れられる寛容性がとても重要です。特に食事に付いては宗教的に禁忌となっている食材があったりしますし、調理されている食事については中身が分からない場合もあります。そういう状況も受け入れられる環境として、このようなキッチン付き食堂があるオフィスというのは興味深い例だと言えます。

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