5-7. 鉄 (1)

5.オフィスビルの素材

建築物を構成する素材として、一番始めに思いつくものは構造材料です。日本では主に木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造があります。(それ以外にも一般的にコンクリートブロック造などもありますし、実験的なものとしてアルミニウム造、竹造というのもつくられたことはあります。)これまででは2-3.「近代/ビルディングタイプ」の稿で僅かながら鉄について書きましたが、今回改めてオフィスビルを構成する素材としての「鉄」にスポットを当ててみたいと思います。
化学記号で言えば言わずもがな「Fe」の鉄ですが、現代においてはありとあらゆるところで使われています。金属の中でも最も身近なもので、例えば金属を種別するのに非鉄金属という言い方がありますが、鉄か鉄でないかが金属の分類の1つの考え方となるほどです。地殻の5%を占めるそうなので、相当量の鉄が現実的に身近に存在していると考えても良いでしょう。また地球に限ったことではなくて、宇宙にも鉄は存在し、隕石として地表に落下して来る隕鉄と呼ばれるものもあります。もちろん純度が高いものではないですが、製鉄技術がまだなかった先史時代では道具として使われたり、宇宙から落ちてきた異物であると分かると宗教的な意味合いを付与されて重宝されたようなこともあったようです。特にロシアやインドのムガール帝国などには流星刀と呼ばれる、隕鉄を材料とした刀剣がつくられて皇帝に献上されたりしたようです。実際には不純物も多く含み、刀にするには不適当な成分なようですが、やはりどちらかと言えば魔刀的な特別な意味合いがあったようです。

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