5-7. 鉄 (8)

このたたら製鉄は近世まで継続して行われ、その後は開国を経て近代の製鉄方法を西欧から輸入することになります。
先述した近世までの西欧の製鉄ですが、いわゆるイギリスにおける産業革命を契機にその様相を大きく異なるものにします。その産業革命のきっかけとなったのが石炭の利用です。それまでは木炭を燃料として炉を焚いていましたが、森林資源を大量消費するもので、禿げ山を作ることもあったそうです。日本でも中国地方の山は一時はたたら製鉄によって禿げ山だらけの場所もあったようです。その代替燃料として登場したのが石炭ですが、石炭には硫黄が多く含まれていたそうで、それで精錬すると鉄がもろくなってしまったようです。それがなかなか石炭が使われなかった理由なようですが、石炭を一度蒸し焼きにして硫黄などの不純物を取り除いたコークスを利用したコークス炉を発明することによって、それをきっかけに爆発的な鉄の生産量を得ることに成功しました。また、その石炭を採掘するために発明された蒸気機関、および大量輸送を実現した蒸気機関車のおかげで産業革命と呼ばれる状況まで到達したということです。

図5-7-5:アイアンブリッジ

図5-7-5:アイアンブリッジ

上図のアイアンブリッジはその産業革命の象徴的な遺産で、川の両岸を鉄や石炭を運ぶために1781年に架橋されました。建築では19世紀中頃に鉄の建築物が建てられるようになるので、鉄の構造物としては最古のものと考えても良いでしょう。

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