5-7. 鉄 (13)

図5-7-10:サント・ジュヌヴィエーヴ図書館2階

図5-7-10:サント・ジュヌヴィエーヴ図書館2階

日本の図書館と比較して大きく違うと思われるのは閲覧席の充実ぶりです。この2階の閲覧スペースには500-700席があり、壁際に廻された開架書庫の量と比較するとかなり席の割合が多いことが分かります。日本と比較すると現在でもフランスでは学生に限らず多くの人々が図書館で勉強あるいは読書をしている姿を目にします。現在でもこの図書館は非常に使われていますし、ポンピドゥー美術館に併設された図書館なども入場するのに行列ができるほどです。その理由は当時の状況を想像するしかないのですが、恐らく電灯などなかった時代において、室内で明るくなければ勉強はできないわけで、一部の貴族が住んでいる邸宅ならばまだしも、一般の学生が住んでいるような住宅には天井高が低く、日当りの悪いような建物がパリ市内には多く、そのために勉強する場所はあくまでも学校である、というニーズが高かったからではないか、と想像します。事実、筆者も5区に借りていたアパートは17世紀に建てられたもので、階高、天井高は低く、組積造のため縦長の窓しか空いておらずに、決して日光がさんさんと入ってくるような住宅ではありませんでしたし、日当りを求めるならば上階に住まなければなりません。(一方でエレベーターはないわけなので、上階も決して心地よい場所だとは言い切れないのですが…。)
そういうわけで自然光でも勉強ができるくらい明るい閲覧室が求められて、かつその数は出来るだけ多い方が良いだろうと考えた時に、この敷地いっぱいに気積の大きい空間を構想するのはとても理にかなったことです。

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