5-8. コンクリート (3)

図5-8-3:パンテオン

図5-8-3:パンテオン

パンテオンの場合は直径43.2mの円形平面にコンクリート製の円筒及びドーム型の屋根が架けられており、床から天井高さも43.2mという、ローマ建築らしいオーバースケールの建物となっています。これだけの構造物を成立させるのに工夫がなされていて、円筒部分の基礎から2階までを3種類、天蓋部分も3種類の合計6層でコンクリートを打ち分けていて、骨材の種類を変えることで上にいくに従って軽くなるような作り方をしています。断面的にも基礎部分の壁厚が6mにもなる一方で、天蓋の頂上付近では1.5m程度だそうで、このような一見単純かに見えるような建物も、その巨大さを成立させるための様々な技術的な工夫が施されていることが分かります。
コンクリートについては、引き続きローマ帝国の版図では建築されることもあったようですが、西ローマ帝国の崩壊とともにコンクリート製の建築物も忘れられたようです。ローマが終わり中世に入ると文化的な衰退が始まったと言われるのは世の通説ですが、コンクリート建築物についても一旦は時代から忘れ去られたということです。文化的には13世紀頃からルネサンスが始まり、ローマの栄華が再び盛り上がるような言われ方がしますが、コンクリートの場合はその後1300年の時を経て、再び日の目を見るのは先述の通り、19世紀の中頃になってからのことだったようです。

最新記事40件を表示