4-2. 自動ドア (3)

ところでエレベーターと同じく、自動ドアもそのアイディアは古く昔まで遡れます。

図4-2-1:Heron

図4-2-1:Heron

「アイオロスの球」、別名「ヘロンの蒸気機関」の記述を残しているヘロンは、古代ローマ時代、アレクサンドリアで活躍した数学者であり、工学者です。彼はコインを入れると決まった量の聖水が出てくる自動販売機やオルガン、ギリシア劇場に於ける様々な仕掛けも発明しています。
彼が考案したという自動ドアというものは、上述の蒸気機関に近い発想から出来ています。密閉した容器に水を溜めて、そこに2本の管を通して一方を祭壇に、もう一方を別の入れ物に繋げます。その入れ物は滑車に吊るされていて、ドアの回転軸に接続されています。そこで、祭壇に火を灯します。すると空気が熱膨張して密閉容器内の水が押し出されもう一方の入れ物に水が溜まっていきます。その水が溜まる重さによって、滑車を経由して接続されていた扉が徐々に開くという仕組みです。

図4-2-2:Heron’s Door

図4-2-2:Heron’s Door

祭壇の火を消すと温度が下がって密閉容器内の空気が収縮し始めるので、逆に重りとなっていた入れ物の中の水が密閉容器の方に吸われて扉が閉まるという仕掛けです。

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