4-14. 窓 (12)

ここまで「引き違い」と「開き」の差を中心に開き方を考えてきましたが、その他の窓の開き方も基本的にはこれらスライド系と回転系の2つに分類されると概ね考えてよいかと思います。いくつか引き続き例を考えていきます。
「引き違い」が2枚の障子が相互にスライドする形式でしたが、1枚はスライドしてもう1枚はフィックスの「方引き」[single-hung sash]があります。スライドする1枚が戸袋を兼ねたようなフィックス側に動くというものです。水平連窓に対して部分的に開口部をつくりたい時などは、引き違いにする意味がないので方引きにしてしまうということがあります。
またスライド方向が水平ではなく鉛直方向の「上げ下げ窓」があります。上下に並んだ2枚の障子が互いにワイヤーで繋がれていて、一方を上げるともう一方は下がるという構造になっています。窓の荷重を受けながら上げ下げするのであまり操作性は良くないです。
また回転系で考えると、軸が下にあり内側に開く「内倒し窓」や外側にひらく「外倒し窓」があります。火災時の排煙の際に開かせる排煙窓には度々「外倒し窓」が使われています。
また、「ジャロジー」というのも回転系の窓として考えられるでしょう。ベネチアンブラインドのように羽を回転させることによって開閉するものです。特に気密性は良くないので気候の良い場所で元々使われていたものですが、浴室の換気のためなどに使用する例も見られます。

図4-14-10:ジャロジー

図4-14-10:ジャロジー

その他、内倒しと内開きを使い分けられる「ドレーキップ」や軸を上枠に付けて外開きの「突き出し窓」、スライド系と回転系を合わせたような「滑り出し窓」など開閉の仕方によるタイプは考えられます。

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