4-14. 窓 (14)

ここでまた話が脱線しますが、水平と鉛直の違いを考えておきます。鉛直方向とは即ち重力の方向をさします。水平はその方向から直行する面が考えられます。この鉛直方向に対抗して建物を建てる、つまり高い建物を建てるということについて、ある種の象徴性を帯びたものになるということは、古今東西を問わず私たちが感ずるところです。「天には神が存在する」といった類いのアレゴリーは世界中の地域に関わらず語られるようなことですし、現在でも超高層ビルの高さの世界一を競うということは、このある種の象徴に近づいていこうとする姿勢の現れのように思います。一方で水平方向は象徴性というよりも、より人間的なものを感じるように思います。鉛直方向は重力があるのでいくらジャンプをしても届かない高さはあるし、すぐに地面のレベルに戻されてしまいますが、水平方向は自らの足で移動して自分の手の届く範囲とすることが出来ます。
ここで水平連窓に戻るとして、視線を水平方向に連続できるというのは、周辺にある建物やランドスケープの要素を連続的に捉えることができるということです。基本的には私たちの世界は水平方向に広がっているものです。いくら鉛直方向に連続する窓をつくっても、すぐに天を見上げることになります。
水平連窓はこのような意味で、ヒューマニスティックな建築の言語だといえると思います。近代5原則の中で「自由な立面」の中でフォローできている範疇の内容のように思えますが、そこから切り離して1つの項目としているのはそのような強い意味があるからだと考えられます。

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