5-6. 壁紙 (6)

ところで壁紙の歴史を探ってみると必ず当たるといっても良いのが「金唐革紙」です。

図5-6-7:金唐革紙

図5-6-7:金唐革紙

上図は旧岩崎邸のものです。ぱっと見での豪華絢爛さといったら、現在の壁紙のイメージとはずいぶん違うものです。元々は紙ではなくて、宮殿や邸宅の壁を装飾する金唐革が江戸時代に西欧からもたらされました。唐草や花鳥といった文様を革に型押ししたもので、そこに金泥などを施したものです。スペイン産のものがオランダを経由して輸入されていたのですが、貴重かつ入手困難なものだったのでその代用品として和紙を使って製作されたものがこの金唐革紙だそうで、1684年に伊勢で作られるようになったと言います。いわば金唐革のまがい物として作られ始めました。ここでは決してネガティブな意味でのまがい物ではなく、当時の襖や屏風といった和紙を使った製作技術や和紙そのものの紙質をコントロールする技術の賜物として、生産が可能になったと考えた方が良いでしょう。
明治時代には大蔵省印刷局が中心となって製作し、ウィーン万博やパリ万博で好評を博し、西欧から受け入れたものが形を変えて西欧へ輸出されるというところまで成功したようです。イギリスではバッキンガム宮殿にも使われている個所があるとのことです。日本でも鹿鳴館や上述の旧岩崎邸などの邸宅に使用されていましたが、昭和初期以降徐々に衰退し、昭和中期には生産が中止されたとのことで。現在でも実際に壁紙として使われている建物は数えられる程度になっているようです。

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